タイラバ入門――実は初心者向き。コツさえわかれば東京湾のマダイが釣れる

初挑戦のタイラバで釣れたマダイを持つ釣り人 船釣りのキホン
初挑戦のタイラバで釣れたマダイを持つ釣り人

タイラバをなめてもらっては困る。

いや、逆だ。なめてかかるぐらいでいい。それがタイラバという釣りです。

「マダイなんて難しい魚、初心者には無理でしょ」――そう思っていたら、考えをあらためてほしい。ふねオジはボート釣り歴40年以上だけど、はっきり言います。タイラバは初心者がマダイを釣れる一番簡単な釣法だ。実際に船長役を務めて初心者を乗せ、タイラバでマダイを釣らせたことは一度や二度じゃない。

今回はタイラバの基本と、ふねオジが本音で推すタックルを紹介します。

タイラバとは何か

タイラバはもともと日本古来の漁具。重いヘッド(鉛やタングステンのオモリ)に、ひらひら揺れるネクタイとハリがセットになったもので、21世紀に入ってから一気に普及した。

なぜ今になって流行ったかというと、極細PEラインというタックルシステムが成熟したから。伸びも抵抗も少ないPEラインと、それを活かせる高性能リールが揃って初めて、このシンプルな漁具が現代の「釣法」として完成した。伝統漁具と最新テクノロジーの幸せな出会い、というわけです。

釣り方はシンプルすぎるくらいシンプル

タイラバの基本操作はこれだけ。

  1. タイラバを海底まで沈める
  2. 着底したら即座にリールを巻き始める
  3. 底から10mほど一定の速度で巻いたら、また沈める
  4. これを繰り返す

「即座に」というのは本当にすぐだ。着底してモタモタしていると、追ってきたマダイに「あ、コレじゃない」と見切られがち。動き続けることでタイラバはマダイを魅了する。

そのための実践的なコツがある。タイラバが着底する少し前に、スプールに親指を軽く当てて糸を張り気味にしておく。こうすると着底がわかりやすいうえ、糸フケが減ってリールを巻いたとたんにタイラバを動かせる。難しくはないので、ぜひ試してみてほしい。

あとはひたすら一定の速度でリールを巻く。本当は波やうねりで船が揺れるから、それを相殺したうえでの「等速」が理想ではある。そのためには巻くときに糸にかかる重みが一定の「等負荷」が必要。でも、ある程度は竿が吸収してくれるし、多少の変化はまったく問題なし。初心者のうちはリールを一定に巻けばOKだ。

アワセも不要。というかアワセてはいけない。アタリが来ても、とにかくリールを一定の速度で巻き続けること。マダイはネクタイのひらひらに焦らされて、何度か獲物を攻撃して弱らせてから、とどめの一撃を食らわせる。その瞬間を向こうアワセで待つイメージ。つまり、着底から釣りあげるまで、同じ速さでリールを巻き続けるだけ。ほら簡単でしょ。

コマセ真鯛と比べてみるといっそう簡単さが際立つ。コマセ真鯛はタナ取り、コマセの振り出し、仕掛けの扱い、そしてコマセと付けエサの同調(←難題)とやることが多い。対して、タイラバは「沈めて巻く」だけ。タイラバは他の釣り方のハードルをぐっと下げてくれる釣法なのだ。

タックルはシンプルに揃える

タックルも複雑に考える必要はまったくない。

竿はバトルスティック船 180Lで十分

タイラバ専用竿というジャンルがあり、全体的にしなやかな「乗せ調子」が定番。ただ、専用竿はピンキリで、中途半端な価格帯のカーボン竿よりグラスソリッドの安竿のほうが全然いい、ということが普通に起きる。

ぼくが記事②(「はじめてのライトアジ」)でも紹介したプロマリン バトルスティック船 180Lは、ほぼグラスソリッド(カーボン10%)の汎用ライトゲーム竿で、タイラバにもばっちり使える。少し短いがこれで十分。ぼくも180Lや195Lをタイラバで実際に使っている。

つまり、記事②でライトアジをやった人はその竿をそのままタイラバに流用できる。一本で二役、財布に優しい。

プロマリン バトルスティック船 180L(Amazon)※現在在庫切れの場合あり。在庫があれば195Lもおすすめ→バトルスティック船 195L(Amazon)

タイラバ専用竿にステップアップしたいなら、ダイワなら紅牙X 69MB-S、シマノならENGETSU BB B69ML-Sが入門用の専用竿として選択肢だ。ダイワとシマノで迷ったら、グリップを実際に握ってみて判断してほしい。シマノはガングリップを採用しており握り込む感覚が強め。そのぶん価格もやや高い。ただ、ふねオジ的にはバトルスティックのほうが好みだけどね。

ダイワ 紅牙X 69MB-S(Amazon) シマノ ENGETSU BB B69ML-S(Amazon)

リールはローギア(PG)&ドラグ性能で選ぶ

ここは重要なところ。まずタイラバのリールはローギア(PG)を選びたい。

なぜか。タイラバではゆっくり一定速で動かすのが鉄則。1秒に50~60cmぐらいが標準的だ。状況によってこれより遅かったり速かったりするほうがいい場合もあるけれど、ハイギアのリールはどうしても巻き速度が速くなりがちで、等速を保つのも難しめになる。ローギアのほうがゆっくり動かしやすく、腕への負担も少なくて初心者はより扱いやすいだろう。

ギア比以上に重要なのがドラグ性能だ。タイラバでしなやかな竿を使うのは、アタリが来たときに違和感を防ぐため。で、実はリールのドラグもその役割の多くを担ってくれる。ドラグとは、一定以上の力がかかったときに糸をスムーズに送り出す機構のこと。これがスムーズだと、マダイがハリに掛かる前の攻撃時、とどめの一撃を食らわせる前に「なんかおかしいぞ」とタイラバを放してしまうのをしっかり防いでくれる。竿よりリールが重要という理由はここにある。

そして、リールの性能を活かすには、ドラグの設定がカギになる。基本は「ゆるゆる」で、タイラバを超高速で回収するときに、時々ドラグがすべるぐらいがひとつの目安。それでもわかりにくかったら、船長に聞いて調整してもらおう。ただし、ドラグレバーにわずかに触れただけで設定が変わることがあるので、こまめな確認を忘れずに。

リールは予算をかけるほど釣果がアップする。だからリールはダイワかシマノの専用モデルを使いたいところ。

カウンター付きリール(水深を表示するもの)やフォールレバー付きリールという機種もあるが、初心者には(ベテランにも)不要だ。余計な機能は混乱のもとになるし、そのぶん値段も上がる。まずはシンプルなものから始めるのが正解(ただし、タチウオにはカウンターは便利なので、もし今後タチウオもやりたいならカウンター付のモデルは検討に値する)。

エントリーモデルとして最もおすすめするのがシマノ エンゲツBB PG。シマノのタイラバ専用ラインの入門機で、ドラグ性能が高く、ローギアで巻きやすい。価格も手頃で、これで東京湾のマダイは十分狙える。

シマノ エンゲツBB 100PG 右巻き(Amazon)

予算に余裕があればダイワ 紅牙シリーズも選択肢だ。ダイワのタイラバ専用リールで、完成度は高い。

ダイワ 紅牙 100 右巻き(Amazon)

ラインとリーダー

PEラインは0.8号を基準にする。150〜200m巻いておけば東京湾なら十分だ。リーダーはフロロカーボン3〜4号を1.5〜2ヒロ。タイラバを交換するたびにカットするので、短すぎると使いにくい。ラインも価格と品質が比例するので、できればいいものを使いたいところ。ちなみに、ぼくが使っているPEラインはよつあみのオムニウムで、リーダーはフロロカーボンのシーガー。シーガーの上級モデルを使わないのは、気兼ねなくどんどん交換したいから。シーガーならノーマルモデルでも強度に問題はない。ラインとリーダーの接続は強くて結び目が小さいFGノットがおすすめだ。ただ、かなり慣れがいるので、できなかったらこれも釣具店か船宿でやってもらうといいだろう。釣具店はラインを買えば普通はやってくれますよ。

タイラバ(ルアー本体)の選び方

タイラバはヘッド(オモリ)+ネクタイ(シリコンのひらひら)+フックがセットになったルアーだ。最初はこれが一体になった完成品を買えばいい。

重さの目安は「水深(m)=重さ(g)」。水深60mなら60g前後が基準だ。ただし東京湾は潮が速くなりやすいうえ、初心者は着底の感覚をつかむのが難しいので、80〜100gあたりが実際には使いやすい。欲を言えば60〜120gまで揃えておくと安心だ。潮の速さやその日の状況で使い分けられる。いずれにせよ乗る船宿に当日の水深と推奨ウエイトを確認するのが一番早くて確実。船の流し方によっては重めの船宿もあるので、忘れずに確認しておこう。

タイラバではヘッドよりもネクタイがキモで、ゆえにさまざまなネクタイがある。けれど、ナチュラルな細めとアピール重視の幅広カーリーの2種類があれば十分だ。カラーはオレンジか赤から始めればいい。実はネクタイとフックの位置関係がすごく重要。市販の完成品は基本的に及第点に達しているので心配はいらないが、フックに邪魔をされてネクタイがちゃんと動かないと釣れないので、毎回投入するときにはかならずフックとネクタイが絡んでいないか確認しよう。その際、できれば海面近くでタイラバを竿を使って泳がせてみて、ネクタイがどんな動きをするのかと、ネクタイの動きをフックが邪魔しないか、ネクタイとフックの位置関係を見てみるといい(ちなみにふねオジはこれを毎回お風呂でやっているし、凝ってくるとフックを自作するようになるのはこれが重要だから)。とまあ、いろいろ書いたけれど、タイラバで大事なのは難しく考えすぎないこと。引き出しの多さは経験とともに自然と増える。まずは釣りに行くのが先決です。

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まとめ:タイラバは「初心者でも王様が釣れる」釣り

タイラバの魅力を一言で言えば、「高嶺の花だったマダイを手の届く魚にしてくれた」ことだ。

難しい操作はいらない。高価なタックルも最初はいらない。時期を選んで、着底させて、ゆっくり巻く。それだけでマダイが釣れる可能性がある。それがタイラバだ。

ライトアジで船釣りに慣れたら、次はぜひタイラバに挑戦してみてほしい。同じ竿でいけるのだから、ハードルはほぼゼロだ。特に東京湾では限定と言っていいぐらい大潮の日がおすすめです。

釣れたマダイの滋味は、間違いなく人生で食べた魚のトップ3に入るだろう。「心を無にして等速巻き」にぜひ挑戦してみてください。

なお、タイラバ船では一つテンヤも楽しめることが多い。テンヤはエサの食わせやアワセなどが必要で、難易度は上がるものの、その分ハマる釣りとも言える。興味がある人には→一つテンヤ入門(うみちゅーblog)もおすすめです。

――ふねオジ

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